平凡な高校生の俺・君塚君彦は完全無欠に巻き込まれ体質で、謎の黒服たちに謎のアタッシュケースの運び屋にされた挙げ句、ハイジャックされた飛行機の中で出逢った天使のように美しい探偵の少女・シエスタの助手となったのだ。
それから――
「君が蜂の巣にされている間に、私が敵を拘束する」
「俺が犠牲になることを前提としたプランを立てるな」
そんなバカなやり取りも交わしながら俺たちは――無一文でその日暮らしをしながら≪世界の敵≫と戦って、ハリケーンの日も二人で野ざらしで寝て、たまにカジノで稼いだ日にはリゾートホテルのベッドで二人で飛び跳ねて、やっぱり翌日からは貧乏で、砂漠を歩いて、ジャングルを抜けて、山を越えて、海を渡って――名探偵と助手は三年間にも及ぶ目も眩むような冒険劇を繰り広げ――
やがて死に別れた。
これは、それからさらに一年後。
ただひとり生き残った俺と、探偵の遺志が紡ぐ――
まだ終わらない物語。
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